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「うちの親は60代でまだ元気だから、何もしなくていいですよね?」
家族からよく聞きます。
実は、60代こそ、面倒な準備に向き合う最後のチャンスです。70代に入ると、判断力・体力が少しずつ落ちてきて、片付けや整理が急に重荷になります。60代の今だからこそ、親と一緒に動ける——これが現場で繰り返し見てきた事実です。
結論からお伝えします。**60代の親と家族で、やっておきたい「面倒な3つ」**があります。
- 書類とお金まわりの整理(口座・保険・カード)
- 家のモノの整理(少しずつの断捨離)
- 家族との「気持ち」の共有(希望・連絡先・思い)
すべてを一気にやる必要はありません。1つずつ、親と一緒に、進めていく形がベストです。
私は理学療法士・社会福祉士として現場で18年、いまは施設の相談員として、「もう少し早く動いていれば」と後悔する家族を毎日のように見ています。今日はその経験から、**60代の親と家族が今のうちに片付けておくべき”面倒3つ”**を整理します。
ある家族の話
Oさん(仮名)の60代後半のお父さまは、長年フリーランスで働いてきた方でした。家には書類が山積み、銀行口座は7つ、生命保険は5つ、クレジットカードは8枚。
「整理しなきゃ」とお父さまも分かってはいたものの、「いつか、時間ができた時に」と先延ばし。
ある日、お父さまが脳梗塞で倒れ、入院。Oさんが代わりに整理しようとしましたが、通帳と印鑑が見つからない、保険証券の場所が分からない、契約者しか手続きできないものがある——書類との戦いに、毎日数時間を費やすことに。
「父が元気なうちに、一緒に整理しておけばよかった……」とOさんは肩を落としていました。
これは現場で本当によく見る後悔です。60代で動ける今が、家族と一緒に「面倒」を片付けるラストチャンスです。
なぜ60代の今がベストか——3つの理由
1. 親の判断力・記憶力がしっかりしている
70代後半〜80代になると、軽度の認知機能の低下が現れることも珍しくなく、整理の判断が一段難しくなります。60代なら、本人が「これは大事」「これは捨てる」を自分で決められる。
2. 体力的に「動ける」
家のモノの整理、書類の見直し、銀行回り——これらは意外に体力を使います。60代なら、親自身が動けるので、家族の負担も減ります。
3. 子ども側にも「親が元気」という余裕がある
介護が始まってからだと、家族は焦って判断します。まだ余裕がある今だからこそ、親と落ち着いて話せます。

面倒その①|書類とお金まわりの整理
これが一番後回しにされがちで、一番後で家族が困るところ。
何が面倒か
- 口座やカードがいくつあるか、本人も把握していない
- 保険の証券がどこにあるか分からない
- 「契約者しか手続きできない」もので、家族では動けない
- 「自分のお金のことを家族に見せたくない」という心理がある
解決の3ステップ
ステップ①|現状を「一枚の紙」に書き出す
親と一緒に、コーヒーを淹れて、1時間だけ作業時間を取ります。「全部完璧に」ではなく、「思いついた範囲で」一覧化するのがコツ。
書き出したいもの:
銀行口座(銀行名・支店・名義)
クレジットカード(カード名・契約日のおおよそ)
保険(生命保険・医療保険・がん保険など)
年金(基礎・厚生・企業など)
サブスクリプション(NHK・電気・水道・スマホ・ネットサービス)
ステップ②|「使っていないもの」を整理
口座10個のうち3個しか使っていない、保険5本のうち2本は重複している——よくある話です。使っていないものを解約するだけで、家族の管理が大幅に楽になります。
ステップ③|家族で共有する場所を決める
整理した一覧は、親と子の両方が知っている場所に保管します。机の引き出し、書斎の棚など、いざという時に家族が探せる場所であることが重要。
今夜使える1行スクリプト:
「お父さん、これからのために、銀行や保険の一覧を一緒に書いてみない?1時間だけ」
「介護のため」とは言わず、「これからのため」と切り出すのがコツです。
面倒その②|家のモノの整理(少しずつの断捨離)
「いつか整理する」が一番危険な言葉です。
何が面倒か
- 思い出のあるモノを捨てるのが、心理的にきつい
- どこから手を付けていいか分からない
- 1日では終わらない、続かない
- 「捨てる=親を否定する」と感じてしまう
解決の3ステップ
ステップ①|「捨てる」ではなく「分ける」から始める
最初から「捨てる」と考えると親も家族も心理的に重くなります。「今使っているもの」「使っていないけど大事」「今後使う見込みのないもの」の3つに分けるだけでOK。捨てる判断は後でいい。判断のハードルを下げるのがコツ。
ステップ②|「1日1引き出し」のペースで
一気に全部やろうとすると挫折します。1日1つの引き出し、または1つの棚でいい。1ヶ月続ければ、家の半分が整理できます。
ステップ③|「親が動きやすい家具配置」を意識する
整理しながら、家具の角・段差・敷物をチェック。将来、足が上がりにくくなった時に転倒しないよう、通路を広く、手を伸ばす範囲に物を置く配置に少しずつ変えていきます。これは PT 視点でも、転倒予防の第一歩です。
今夜使える1行スクリプト:
「お母さん、この引き出し、今度一緒に整理しない?お母さんしかわからないモノもあるし」
「お母さんしかわからない」と添えることで、親の主体性を尊重した切り出し方になります。
面倒その③|家族との「気持ち」の共有
これが一番大事で、一番難しい面倒です。
何が面倒か
- 親も子も「縁起でもない」と感じて切り出せない
- 何を話していいか分からない
- 一度ですべて決まるわけではない、何度も話す必要がある
- 兄弟がいると、誰が切り出すかでも揉める
解決の3ステップ
ステップ①|「もしもの時はどうしたい?」を、軽く一度だけ聞く
重く話す必要はありません。テレビでそういう話題が出たとき、親戚の介護話を聞いた後など、自然な流れで切り出すのがコツ。
聞いておきたい3つ:
介護が必要になったら、自宅か施設か
延命治療について(人工呼吸器・経管栄養)
お金のこと(介護にどれくらい使えるか)
ステップ②|エンディングノートを「親に贈る」
エンディングノート(1,000〜2,000円で書店・Amazon・楽天で購入可)を、親にプレゼントして、自分のペースで書いてもらう。プレッシャーにならず、ご本人が自分の意思を整理する時間になります。
ステップ③|「親しい人の連絡先」を共有
親が倒れたとき、誰に連絡するか。親しい兄弟、友人、町内会の代表などの連絡先を、家族で共有しておくだけで、いざという時の動きが全く違います。
今夜使える1行スクリプト:
「お父さん、これ、エンディングノートっていうんだけど、お父さんの希望を書いてくれたら助かるんだ」
「助かる」という言葉を使うと、親も家族のために書くという前向きな気持ちで受け取りやすくなります。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
最後に、今夜あなたのポケットに入れて帰っていただきたいひとつだけ、お渡しします。

60代の親と家族で、やっておきたい「面倒3つ」。 書類・モノ・気持ち——70代になる前に、親と一緒に1つずつ。
これは、現場で18年見てきた最大の後悔を防ぐためのリストです。「いつか」と思っている今こそ、動き出すタイミングです。
次の行動|今夜できる3つ
3つの面倒のうち、今夜のうちに1つだけを動かしてみてください。
親に**「お金や保険の一覧を一緒に書こう」**と提案するメールor電話のメモを書く
親の家を訪ねたときに**「この引き出し、いつか一緒に整理しよう」**と種をまく
エンディングノートを1冊、親へのプレゼント用に注文する
3つのうち1つだけでいいです。「まだ動かなくていい」と思っていた未来の準備が、ほんの少しだけ手元に近づきます。
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。関連記事として、






もよかったらどうぞ。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護予防」
- 内閣府「高齢社会白書」
- 法務省「成年後見制度」「自筆証書遺言書保管制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00051.html
- 公益財団法人 生命保険文化センター「介護に関する調査」
- 一般社団法人 終活カウンセラー協会
※相続・遺言・成年後見など法律に関わる準備は、必要に応じて司法書士・弁護士・行政書士などの専門家にご相談ください。 ※本記事には、Amazon・楽天アフィリエイトのリンクが含まれます。
最終更新日:2026年5月









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