「難病受給者証、持っていたのに使っていなかった……」
施設相談員の仕事をしていると、こういう場面によく出会います。申請すれば使えるのに、存在を知らなかった。または「うちは関係ないと思っていた」というケースです。
この記事は後編です。前編で紹介した基本5枚に加えて、状況によって持っている方だけが使える「プラスαの書類」を5つ解説します。該当するものがあれば、申請することで医療費・介護費が大きく変わる可能性があります。
Bさんの話——「申請したら月3万円違った」
お父さん(74歳)がパーキンソン病を発症し、在宅で介護を続けていたBさん(62歳・女性)の話です。
ある日、担当のケアマネジャーから「お父さんはパーキンソン病なので、難病医療費助成制度が使えるかもしれませんよ」と言われました。Bさんはその制度を知りませんでした。申請の結果、難病受給者証が交付され、医療費の自己負担が大幅に下がりました。
「もっと早く教えてもらえたら……」とBさんは言いましたが、こういった制度は「知っている人だけが得をする」仕組みになっているのが現実です。だから、知ってほしい。
確認してほしいプラスαの書類5つ

・① 難病医療費助成受給者証(難病受給者証)
・② 身体障害者手帳
・③ 精神障害者保健福祉手帳 / 療育手帳
・④ 福祉医療費受給者証(都道府県・市区町村独自)
・⑤ 高額介護合算療養費(申請制)
① 難病医療費助成受給者証(難病受給者証)
国が指定した338の「指定難病」に該当する場合、申請することで医療費の自己負担が軽減される制度です。対象疾患には、パーキンソン病・ALS・筋ジストロフィー・潰瘍性大腸炎・クローン病など、高齢者にも多い病気が含まれています。
所得に応じた月額上限額が設定されており、上限を超えた分は公費で負担されます。申請窓口は都道府県の保健所または保健センターです。主治医の診断書が必要になります。

そのまま使える一言: 「父がパーキンソン病なのですが、難病の医療費助成は申請できますか?どこに相談すればいいでしょうか?」
② 身体障害者手帳
視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害(心臓・腎臓・呼吸器など)などに一定以上の障害がある方が取得できる手帳です。1〜6級に分類され、等級に応じて税金の控除、公共交通機関の割引、各種福祉サービスの費用軽減などが受けられます。
脳梗塞・骨折・心臓病などの後遺症で身体に障害が残った場合に取得できることがあります。「障害者手帳は若い人のもの」と思っている方もいますが、高齢者でも申請できます。申請窓口は市区町村の障害福祉担当窓口です。



そのまま使える一言: 「父が脳梗塞の後遺症で手に麻痺が残っています。身体障害者手帳の申請はできますか?」
③ 精神障害者保健福祉手帳 / 療育手帳
精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症・うつ病・双極性障害・てんかんなどの精神疾患がある方が対象です。認知症は原則として対象外ですが、認知症に加えてうつ状態などがある場合は対象になることがあります。申請は市区町村の障害福祉窓口へ。
療育手帳は知的障害のある方が対象です。高齢になってから知的障害と診断された場合でも申請できる場合があります。都道府県や市区町村によって名称が異なります(「愛の手帳」「みどりの手帳」など)。
④ 福祉医療費受給者証(都道府県・市区町村独自)
都道府県や市区町村が独自に設けている医療費助成制度です。名称・対象・助成内容は自治体によって大きく異なります。障害者手帳の所持者、ひとり親家庭、乳幼児などが対象になることが多いですが、高齢者向けの独自助成を設けている自治体もあります。まずはお住まいの市区町村窓口に「高齢者の医療費助成はありますか?」と聞いてみてください。



そのまま使える一言: 「この市で、高齢者や障害者向けの医療費助成制度はありますか?対象かどうか確認したいのですが」
⑤ 高額介護合算療養費(申請制)
これは「書類」ではなく「制度」ですが、申請しないと使えないため紹介します。医療費と介護費の両方が高額になった場合、年間の合計額に上限が設けられる仕組みです。上限を超えた分は申請することで払い戻されます。
申請窓口は加入している医療保険の窓口(後期高齢者医療→広域連合、健康保険→協会けんぽ等)。毎年8月〜翌7月の期間で計算され、翌年に申請する形になります。計算が複雑なので、ケアマネジャーや市区町村窓口に相談するのがスムーズです。
どれが対象か分からないときの相談先
「うちは対象になるのか分からない」という場合は、次の順番で相談するのがおすすめです。
・担当ケアマネジャーに「使える制度がないか確認してほしい」と伝える
・市区町村の介護保険・障害福祉窓口に電話して聞く
・入院中なら病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談する
・都道府県の保健所(難病担当)に問い合わせる
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
Bさんが「もっと早く教えてもらえたら」と言っていたように、これらの制度は知らないと使えません。
「うちは関係ないと思っていた」が、一番もったいないパターンです。まず「対象かどうか確認する」だけで大丈夫です。



プラスαの5つ
①難病受給者証 ②身体障害者手帳
③精神・療育手帳 ④福祉医療費受給者証
⑤高額介護合算療養費
「うちは?」と一度、窓口に聞いてみてください。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。メガネ
前編もあわせてどうぞ
全員が持つべき「基本の5枚」は前編で解説しています。介護保険証・要介護認定結果通知書・負担割合証などの確認と管理方法を紹介しています。




もよかったらどうぞ。
次の行動|今日できること
1つだけ確認してみてください。
・主治医に「難病の医療費助成の対象になりますか?」と聞いてみる
・担当ケアマネに「使えそうな制度はないか確認してほしい」と伝える
・市区町村の窓口に「高齢者向けの助成制度を教えてほしい」と電話する
出典・参考
- 厚生労働省「難病医療費助成制度の概要」(2024年度版)
- 厚生労働省「身体障害者手帳について」
- 厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」
- 厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳について」
- 各都道府県・市区町村の福祉医療費助成制度(自治体により異なる)
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。各制度の詳細・対象要件は自治体によって異なります。個別の状況については、市区町村窓口・担当ケアマネジャー・主治医にご相談ください。
最終確認日:2026年6月





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