「夫の親の介護が始まりそうなんですが、私たち共働きで、どうしたら……」
家族の相談で、夫婦で来られる40〜50代のケースが増えています。
結論からお伝えします。共働き夫婦が親の介護で詰まらないために、今からできる3つの話し合いがあります。
- 両家の親の「現状」を、夫婦で共有する
- 役割分担を「先に」決めておく
- 会社の制度を、夫婦それぞれ確認する
私は理学療法士・社会福祉士として現場で18年、施設の相談員として、「夫婦で悩んだ」結果、介護がうまく回らなくなったケースを何度も見てきました。今日はその経験から、共働き夫婦が親の介護で詰まないための3つの話し合いを整理します。
ある家族の話
QさんとRさん(仮名)は40代の共働き夫婦。両家の親はそれぞれ70代で、まだ元気でした。ある日、Qさんのお母さまが軽い脳梗塞で入院。退院後の介護が必要に。
Qさんが「私の母なんだから、私が動く」と仕事を半休にして奔走。一方、Rさんは「自分の親じゃないから」と関与せず。
数週間後、QさんはRさんに「なぜ一緒に動いてくれないの?」と詰め寄り、夫婦喧嘩に。
その頃、今度はRさんのお父さまが転倒で骨折。
「両家の親が同時に介護に……どうしていいか分からなくなって」と夫婦で相談に来られました。
私はその場で、3つの話し合いを提案しました。1ヶ月後、「話し合っただけで、こんなに動きやすくなるとは思いませんでした」とお二人から連絡がありました。
なぜ夫婦で困るのか——3つのパターン
1. 「自分の親は自分が見る」という思い込み
これが一番多いパターン。自分の親だけが心配で、配偶者の親については関心が薄い。でも実際は、夫婦で動かないと回りません。
2. 仕事の都合がぶつかる
両方ともフルタイムで働いていると、**「平日昼間に誰が動くか」**が大問題。ここを決めずに進めると、片方ばかり負担が偏ります。
3. お金の問題が後回しになる
介護費用は誰の財布から出すのか。親自身の貯蓄か、子の財布か、夫婦の共通の財布か。これを話していないと、後で揉めます。
共働き夫婦の3つの話し合い

話し合い①|両家の親の「現状」を、夫婦で共有する
最初にやるべきは、両家の親の情報を夫婦で見える化することです。
共有したい7項目(両家それぞれ):
親の年齢・住まい・誰と暮らしているか
健康状態・かかりつけ医
経済状況(年金・貯蓄のおおよそ)
介護保険の認定の有無
「介護が必要になったらどうしたい」という親の意向
親しい兄弟・親戚の連絡先
親の家から夫婦の家までの距離・移動時間
「自分の親のことだけ自分が」ではなく、「夫婦で共有する課題」として扱うのがコツです。
今夜使える1行スクリプト:

「お互いの親のこと、一度、夫婦で話してみない?コーヒーでも飲みながら」
休日の朝、コーヒー片手に1時間。これだけで、夫婦の介護への向き合い方が変わります。
話し合い②|役割分担を「先に」決めておく
実際の介護が始まる前に、役割分担の基本ルールを決めておくと、揉めにくくなります。
決めておきたい4つ:
どちらの親を優先するか(事情ベース:状態の重さ・距離・経済的負担で判断)
平日の動き手(在宅勤務できる方が対応、など)
週末の動き手(交代制、両家を分担、など)
お金の出どころ(親自身の貯蓄が基本、夫婦の財布から出す場合のルール)
「平等」を目指す必要はありません。夫婦が納得できる形であればOKです。
「夫の親の介護は妻も動く/妻の親の介護は夫も動く」という夫婦単位の感覚を作っておくと、揉めにくくなります。
話し合い③|会社の制度を、夫婦それぞれ確認する
夫婦それぞれの会社で、使える制度が違います。先に確認しておくと、いざという時に動きやすい。
確認しておきたい4つ:
介護休業:最大93日(給付金あり)
介護休暇:年5〜10日(1日/時間単位)
在宅勤務制度:使えるか、頻度の上限は
時短勤務・フレックス:介護を理由に使えるか
夫婦のどちらが、どの制度を使うか——「先に決めておく」だけで、いざという時に夫婦のどちらかが穴埋め役になるような状況を避けられます。
今夜使える1行スクリプト(自分の会社に):



「介護で休む必要が出た時、どんな制度が使えますか?事前に教えてほしいです」
人事に聞くだけ。介護休業はすべての会社で法律で保障されています。
ダブルケア(子育てと介護)の場合
40代の共働き夫婦は、**子育てと介護が同時に来る「ダブルケア」**になることもあります。その場合、追加で次を意識してください。
子どもへの説明:「おじいちゃん/おばあちゃんの介護が始まる」を年齢に応じて伝える
学校・保育園との連携:急な対応が必要な場合の連絡先確認
外部サービスの併用:家事代行・ベビーシッター・配食サービスも組み合わせる
「自分たちだけで全部やる」のは不可能です。プロのサービスを組み合わせるのがダブルケアの鉄則です。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
最後に、今夜あなたのポケットに入れて帰っていただきたいひとつだけ、お渡しします。



共働き夫婦の親の介護は、夫婦で「話し合う」ことから始まる。 両家の現状・役割分担・会社の制度——3つを今夜、コーヒー片手に。
私が現場で見てきた、共働き夫婦の介護が一番うまく回っている家族の共通点は、「介護の前に話し合っている」ことでした。
次の行動|今夜できる3つ
3つの話し合いのうち、今夜のうちに1つだけを動かしてみてください。
夫婦で**「両家の親のこと」を話す時間**を、今週末のスケジュールに入れる
自分の会社の人事に**「介護休業のこと、教えてほしい」**とメモを書く
親の家から自分の家までの移動時間を、Googleマップで確認する
3つのうち1つだけでいいです。「いつか考えなきゃ」だった介護の話が、今夜から動き始めます。
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。関連記事として、






- 介護休業と介護休暇のちがい——仕事を辞める前に必ず知ってほしい制度
- 介護にいくらかかる?月額の目安と、知っておきたい自己負担軽減の制度
もよかったらどうぞ。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「育児・介護休業法」「仕事と介護の両立支援」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115525.html
- 内閣府「ダブルケア(仕事・育児・介護)に関する調査」
- 厚生労働省「在宅勤務・テレワーク」関連資料
- 公益財団法人 生命保険文化センター「介護に関する調査」
※本記事は共働き夫婦の家族介護に関する一般的なガイドです。 個別の制度利用や金銭相談は、お勤め先の人事部、または地域包括支援センター、FPなどの専門家にご相談ください。 ※本記事には、FP相談サービス等のアフィリエイトリンクが含まれます。
最終更新日:2026年5月








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