「SNSで介護のことを調べていたら、情報が多すぎて、何が正しいか分からなくなって……」
家族介護を始めたご家族から、本当によく聞きます。
結論からお伝えします。介護情報をSNSで集めるときは、惑わされないための3つのコツがあります。
- 発信者の「立場」を見る
- 「個別の話」と「一般論」を区別する
- 公式情報で「裏取り」する習慣を持つ
私は理学療法士・社会福祉士として現場で18年、施設の相談員として、SNS情報に振り回されて疲れたご家族を何度も見てきました。今日はその経験から、介護情報と賢く付き合う方法をお伝えします。
ある家族の話
Vさん(仮名)は50代の女性で、お母さまの介護が始まったばかり。情報を集めるために、X(旧Twitter)・Instagram・YouTube・TikTokを毎日チェックしていました。
ある日、「この施設は絶対に避けるべき」「ケアマネは信用するな」「介護保険は使うな」など、極端な発信を立て続けに見て、Vさんは混乱。担当ケアマネさんに不信感を持ち、施設選びでも迷走。結果、お母さまのケアプランがしばらく止まってしまいました。
私のところに相談に来られたとき、Vさんは「SNSを見れば見るほど、不安になるんです」と肩を落としていました。
私はその場で、こうお伝えしました。
「SNSは便利ですが、極端な情報がバズりやすい仕組みなんです。それと、Vさんのお母さまの状況は別物。一度、SNSから離れて、目の前の現実だけ見てみましょう」
Vさんは1週間、SNSから離れました。その間、担当ケアマネさんと丁寧に話し、お母さまに合うケアプランを組み直し。1ヶ月後、「振り回されない方が、こんなに楽だとは思いませんでした」と連絡をいただきました。
これは、現代の介護家族なら誰でも陥りやすい状況です。
なぜ介護のSNS情報は注意が必要か——3つの罠
1. 「極端な情報」がバズりやすい
SNSのアルゴリズムは、感情を強く揺さぶる投稿を優先的に表示します。「絶対◯◯すべき」「絶対◯◯はダメ」のような断定的な投稿は、実際の現場感覚から外れていることが多いのに、目に入ってきます。
2. 「個別のケース」が「全員に当てはまる話」に見える
介護の状況は、本人の状態・家族の事情・地域のサービスなどで、一人一人まったく違います。SNSで「うちの場合はこうだった」という個別の話が、まるで一般的なルールのように受け取られてしまうことがあります。
3. 情報過多で「動けなくなる」
SNSは情報量が多すぎます。たくさん知るほど、迷うことが増えて、動けなくなる——これが介護の現場で実際に起きていることです。
惑わされない3つのコツ

コツ①|発信者の「立場」を見る
SNSで介護情報を発信している人は、いくつかのタイプがいます。それぞれに強みと注意点があります。
| 発信者のタイプ | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
| 医療・福祉の専門職 | 制度・専門知識に強い | 一般家族の心情まで分からないことも |
| 介護中の家族 | 実感・共感がある | 自分のケースに偏りがち |
| 元家族介護者 | 経験談が豊富 | 「過去」の制度の話が混じる |
| 介護関連の業者・営業職 | 商品・サービスに詳しい | 自社品を勧める偏り |
| インフルエンサー | 分かりやすい | バズるための単純化・極端化 |
**「誰が、どんな立場で、何のために発信しているか」**を一度立ち止まって考えるだけで、情報の見え方が変わります。
今夜できる1行:

『フォローする前に、その人のプロフィールを一度読む』
コツ②|「個別の話」と「一般論」を区別する
SNSで見る話のほとんどは、個別のケースです。「うちの場合はこうだった」という話を、自分の家族にもそのまま当てはまると思ってはいけません。
確認する3ポイント:
・その人の家族の状況(介護度・年齢・住まい)は自分と同じか?
・その人の地域(都市部・地方)は自分と同じか?
・その情報は**「事実」か「個人の感想」か**?
「この施設は最悪だった」という投稿があっても、それはその施設のその時の対応の話。自分の地域の同じ系列の施設が同じとは限りません。
コツ③|公式情報で「裏取り」する習慣を持つ
SNSで気になる情報を見つけたら、必ず公式情報で確認する習慣を持ちましょう。
公式情報の主な情報源:
・厚生労働省(介護保険・制度全般)
・お住まいの自治体(具体的なサービス・窓口)
・地域包括支援センター(個別の相談に乗ってくれる)
・公益社団法人 認知症の人と家族の会(認知症関連)
・国民生活センター(消費者トラブル・悪質業者の警告)
「SNSで見た話を、一度公式で確認する」——この1ステップを挟むだけで、間違った情報に振り回されるリスクが大きく下がります。
SNSと賢く付き合う3つの工夫
工夫①|フォローする人を絞る
たくさんの発信者をフォローすると、情報が混乱します。信頼できる発信者を5〜10人に絞るのがおすすめです。
おすすめの基準:
・資格・立場を明示している(医療職・福祉職など)
・断定的な表現を避けている(「絶対」「必ず」「全員」をあまり使わない)
・公式情報のリンクを貼っていることが多い
工夫②|「情報」と「気持ち」のSNSを分ける
情報収集と、気持ちの共有は、別のアカウントで分けるのもひとつの方法です。
・情報用:医療職・福祉職・公的機関をフォロー
・気持ち用:同じ立場の家族と繋がる(介護ハッシュタグなど)
「役立つ情報」と「心が温まる繋がり」を、混ぜずに使い分けると、SNS疲れが減ります。
工夫③|SNSに疲れたら、離れていい
これが一番大事です。SNSは、必ずしも見続ける必要のないツールです。
・不安が強くなったら、1週間離れる
・寝る前1時間はスマホを見ない
・朝の珈琲時間はSNSではなく、自分の時間に
「繋がっていないと不安」と感じるかもしれませんが、離れることで取り戻せる時間と心の余白は、想像以上に大きいです。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
最後に、今夜あなたのポケットに入れて帰っていただきたいひとつだけ、お渡しします。



介護のSNS情報は、立場を見て、個別か一般かを区別して、公式で裏取り。 そして、疲れたら離れていい。
SNSは、賢く使えば本当に役立つツールです。でも、振り回されるツールにもなり得ます。自分の家族の状況だけは、SNSではなく目の前のケアマネさんと、現実の中で決めていく——これが基本です。
次の行動|今夜できる3つ
3つのうち、今夜のうちに1つだけを動かしてみてください。
・自分が今フォローしている介護情報の発信者を見直して、5〜10人に絞る
・気になる投稿を見たら、お住まいの地域包括支援センターで裏取りする習慣を作る
・寝る前1時間はSNSを開かない、と決める
3つのうち1つだけでいいです。「情報に振り回されていた」毎日が、少しだけ楽になります。
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。関連記事として、






もよかったらどうぞ。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 総務省「インターネット利用に関する各種調査」
- 国民生活センター「高齢者・介護に関する相談」
- 一般社団法人 全日本病院協会「介護情報リテラシー」関連資料
※本記事はSNSの介護情報全般に関する一般的なガイドです。 個別の介護に関する判断は、お住まいの地域包括支援センター・かかりつけ医・担当ケアマネにご相談ください。
最終更新日:2026年5月








コメント