「親が老健に入所したけど、相談員さんって、どう関わってくれるんですか?」
家族からよく聞かれます。
結論からお伝えします。老健(介護老人保健施設)の相談員(社会福祉士/支援相談員)は、家族と本人にとって、3つの役割を担っています。
・家族との関わり——窓口・調整・代弁の担当
・本人様の支援——生活と希望の橋渡し
・多職種・地域との連携——医療・介護・退所先を繋ぐ
私は理学療法士・社会福祉士として現場で18年、いまは施設の相談員として、毎日家族と本人の間に立つ仕事をしています。今日はその経験から、家族が老健の相談員をどう活用すればいいかを整理します。
ある家族の話
Yさん(仮名)の80代のお父さまが、骨折のあと老健に入所しました。Yさんは「相談員さんに何を頼んでいいか分からなくて……」と、面会のたびに遠慮していました。
ある日、私はこうお伝えしました。
「何でも頼ってください。それが相談員の仕事です」
その後、Yさんは月に一度、相談員と近況面談をするようになりました。退所準備、自宅改修の手続き、退所後のケアマネ紹介——全部スムーズに進み、お父さまは無事自宅に戻られました。
「相談員さんに頼っていいんだと知っているだけで、こんなに違うとは」とYさん。
これは現場でよくある場面です。

役割①|家族との関わり
老健の相談員は、家族にとって最初の窓口であり、何でも相談できる橋渡し役です。
家族から実際によくある相談:
・面会の調整、生活の様子の報告
・本人の希望を聞き取って家族に伝える
・退所先の選定支援(自宅/特養/有料老人ホーム)
・経済的な負担と公的制度の案内
・家族の不安・葛藤の傾聴
「相談員に何を相談していいか分からない」と感じたら、まずは「最近の父の様子を教えてください」だけでOKです。そこから話が広がります。
役割②|本人様の支援
老健は、**「リハビリして在宅に戻る」**が原則の施設です。だから、本人様の希望と状態を丁寧に聞き、退所後の生活までを見据えて支援します。
相談員が本人様にしていること:
・入所時のアセスメント(生活歴・希望・困りごと)
・リハビリ・看護・介護の方針への意見集約
・本人の声を医療職・介護職に伝える代弁役
・自立支援への動機づけ
「家族の意向」と「本人の希望」が一致しない場面も、現場では本当に多いです。相談員はその間に立ち、両方の声を尊重しながら調整する役を担います。
役割③|多職種・地域との連携
老健は、医師・看護師・PT・OT・ST・介護福祉士・栄養士・ケアマネジャー——多くの専門職で動く場所です。相談員は、これらの専門職と本人・家族の間に立つハブの役割を担います。
退所が見えてきたら、施設外との連携も始まります:
・地域包括支援センター
・在宅の担当ケアマネジャー
・住宅改修業者
・福祉用具レンタル業者
・退所先(特養・有料・サ高住など)
退所先によって準備すべきことが大きく違うので、早めに相談員と退所方針を共有するのが大事です。
家族が相談員を最大活用する3つのコツ
長く現場で見てきて、相談員と上手につきあえている家族には共通点があります。
・「相談していいかな」と感じたら、まず話してみる——重い相談でなくてOK
・月1回は近況面談を希望する——定期的な対話が信頼を育てる
・退所が見えてきたら早めに動く——準備に1〜2ヶ月かかることが多い
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ

老健の相談員は、家族にとって「何でも相談できる橋渡し役」。 遠慮せず、まず話してみる——それだけで、入所中の不安が大きく減ります。
「相談員さんは忙しそうだから……」と遠慮する家族をたくさん見てきました。けれど、相談員はあなたの相談を聞くのが仕事です。遠慮はかえって、お互いに不幸を生みます。
次の行動|次回の面会でできる3つ
・相談員さんに名刺または連絡先をもらう
・気になっていることを1つだけメモして、次回伝える
・退所時期のおおよその目安を一度聞いておく
3つのうち1つだけでいいです。「相談員さんって遠い存在」が、ぐっと近くなります。
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。関連記事として、




もよかったらどうぞ。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護老人保健施設」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/
- 公益社団法人 日本社会福祉士会
- 公益社団法人 全国老人保健施設協会
※老健の運営方針・支援内容は施設により異なります。 個別の支援内容は、入所先の施設の相談員に直接お問い合わせください。
最終更新日:2026年5月









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