ケアマネジャーとの関係は、介護の質に直結します。
そして、ほんの一言で、その関係がぎこちなくなることがあります。
この記事では、ケアマネ経験者として「あのとき言われて困った」一言を3つ正直に書きます。言った家族が悪いわけではありません。むしろどの一言も、正直な気持ちから出ているものばかりです。でも、少し言い換えるだけでケアマネが一番動きやすくなる——そんな逆転の処方箋をお伝えします。
Gさんの話——「その一言の翌日から、雰囲気が変わった」
Gさん(仮名・57歳・会社員)のお母さん(76歳・要介護2)は、在宅介護が始まって3か月でした。
担当ケアマネのAさんはとても熱心な方で、毎月の訪問を丁寧に続けてくれていました。ところがある日、Gさんのお母さんが何気なく口にした「前のケアマネさんの方が、もっとよく来てくれた」という一言が、Aさんの耳に届いてしまったのです。
その翌日から、Aさんの表情が少し硬くなったように見えた、とGさんは話してくれました。
「悪気はなかったんです。ただ、前の担当の方が毎週来てくれていたので、母が比べてしまっていたみたいで……」
気まずい空気は、その後しばらく続いたそうです。
NG①——「前のケアマネの方がよかった」

比較は、相手の心に傷を残します。
もちろん、言った方に悪意はありません。「前の人はこうしてくれた」という言葉の裏には、「もっとこうしてほしい」という期待が詰まっています。それ自体は正直な気持ちです。
でもケアマネの立場から言うと、比較された瞬間に「この家族とは何をしても評価されないかもしれない」という気持ちが生まれてしまいます。それは、次に頑張ろうとする気持ちを削ぐことにつながります。
ケアマネは人間です。感情を持って仕事をしています。比較された体験は、関係の質に影響します。

【言い換え一言スクリプト】「前の担当の方に相談していた○○について、改めて教えてもらえますか?」→ 「比較」ではなく「引き継ぎの確認」として伝えると、ケアマネも動きやすくなります。
NG②——「とにかく全部お任せします」
この一言は、善意から出ています。「信頼しています」「プロに任せます」という気持ちが込められています。
でも、ケアマネにとって「全部お任せ」は、実は困る言葉のひとつなのです。
介護保険のサービスは、本人の意思・希望・生活スタイルをもとにケアプランが作られます。「何でもいい」と言われると、本人が望む暮らしが見えなくなります。ケアプランは生活の設計図であり、「全部お任せ」が続くと、その設計図に本人の声が入らなくなってしまいます。
「お任せします」という信頼はうれしい。でもその一言だけでは、ケアマネは動けません。



【言い換え一言スクリプト】「細かいことはお任せしますが、母は○○だけは大事にしたいと言っています」→ 大枠は任せながら、本人の希望を1つ添えるだけで、ケアプランの質が変わります。
NG③——「先生に言われたからやってください」
少し複雑なパターンです。
医師の指示は、もちろん重要です。でも「先生に言われたから」という言葉で話が終わってしまうと、ケアマネが専門的な視点を入れる余地がなくなります。
医師の指示は「医療」の視点から出ています。生活・介護の視点は、ケアマネや相談員の専門領域です。この2つは別の専門性です。「先生に言われたのですが、生活の中でどう取り入れればいいか教えてもらえますか?」と聞く方が、両方の専門知識を活かした支援につながります。
また、「先生がそう言っているから」という言葉は、ときに「それ以外の意見は聞かない」という空気を生みます。ケアマネが「でも生活の面では……」と言いにくくなってしまう場面が、現場ではよくあります。



【言い換え一言スクリプト】「主治医から○○と言われたのですが、生活の中でどう取り入れればいいですか?」→ 「実施してください」ではなく「一緒に考えてください」のスタンスで伝えると、話し合いが広がります。
逆に、ケアマネが一番うれしい一言
「言ってはいけない」の逆を書いておきます。連絡や面談のときにこういう一言があると、ケアマネが一番動けます。
・「○○についてどう思いますか?率直に教えてください」(意見を求められる)
・「先週こういうことがありました」(日常の変化を具体的に教えてくれる)
・「困ったのですが、まずケアマネさんに聞いてみようと思って」(最初に相談してくれる)
・「ありがとうございます。助かりました」(感謝を言葉にしてくれる)
ケアマネは「情報」と「感謝」で動きます。変化を教えてくれること、そして感謝を言葉にしてくれることが、仕事への意欲につながります。
今日から動けること
具体的に動くとすれば、次の3つです。
・「全部お任せ」が口癖なら、次の連絡で「本人が大事にしていること」を1つ伝えてみる
・前の担当と比べたい気持ちがあるなら「引き継ぎを確認したい」として具体的に聞いてみる
・医師の指示を伝えるときは「生活の中でどうすれば?」という質問に変えてみる
ケアマネとの関係は、一言で変わることがあります。悪い方向にも、良い方向にも。この記事が、少し良い方向へのきっかけになれば嬉しいです。
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珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/care_manager/index.html
- 厚生労働省「居宅介護支援の提供等に関する基準について」https://www.mhlw.go.jp/









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