「お父さんが緊急入院して、病院に駆けつけたはいいけれど……受付で何枚も書類を求められて、何も持っていなくて」
現場でよく聞く声です。介護が始まると、さまざまな「証書」が必要になる場面が一気に増えます。知っておくだけで、いざというときに慌てずに済む——そんな書類を5枚に絞って整理しました。
この記事は前編です。全員が持つべき「基本の5枚」を解説します。後編では、状況によって持っている方だけが使える「プラスαの書類」を紹介します。
Aさんの話——「書類ひとつで、その日の手続きが止まった」
お父さん(81歳)が自宅で転倒し、大腿骨を骨折して緊急入院することになったAさん(58歳・女性)の話です。
病院の受付で「後期高齢者医療被保険者証はお持ちですか?」と聞かれたとき、Aさんは固まってしまいました。「保険証……家のどこかにあるはずなんですが」。結局その日は兄と手分けして書類を探し、手続きが夕方まで遅れました。
「普段の生活で使わないから、どこにしまったか分からなくなっていた」というのが正直なところだったそうです。書類は「使うとき」ではなく「何かが起きる前」にまとめておく——それが、この記事でお伝えしたいことです。
今すぐ確認したい基本の5枚

まずは5枚をまとめて確認しましょう。
・① 介護保険被保険者証(介護保険証)
・② 要介護認定結果通知書
・③ 介護保険負担割合証
・④ 後期高齢者医療被保険者証(または健康保険証)
・⑤ 限度額適用認定証(高額療養費)
① 介護保険被保険者証(介護保険証)
水色の薄い冊子で、40歳以上の方全員に市区町村から送られてきます。介護保険サービスを利用するたびに提示が必要で、紛失した場合は市区町村窓口で再発行できます。再発行は無料で、本人または家族が申請できます。

そのまま使える一言: 「介護保険証を紛失してしまったのですが、再発行はどこで申請できますか?」
② 要介護認定結果通知書
介護保険の認定調査を受けたあと、市区町村から郵送で届く通知書です。「要支援1・2」や「要介護1〜5」の認定結果と、有効期間が記載されています。
これは介護保険の起点となる最重要書類です。ケアマネジャーへの依頼、デイサービスの契約、訪問介護の申し込みなど、あらゆる手続きで「要介護度」の確認に使われます。有効期間が切れる前に更新申請が必要なことも覚えておいてください。



そのまま使える一言: 「要介護認定の結果通知書が見当たらないのですが、再発行か現在の認定状況の確認はできますか?」
③ 介護保険負担割合証
介護保険サービスを使うときの自己負担が「1割・2割・3割」のどれかを示す証書です。所得に応じて毎年8月に更新され、新しい証書が送られてきます。古い証書が財布に入ったままになっていることが多いので、有効期間を確認してください。
介護保険証と負担割合証はセットで管理しておくと、サービス利用時にスムーズです。
④ 後期高齢者医療被保険者証(または健康保険証)
75歳になると、それまでの健康保険から「後期高齢者医療制度」に自動的に切り替わり、新しい保険証が届きます。色は自治体によって異なりますが、薄いピンク系が多いです。
75歳未満の方は、勤め先の健康保険証や国民健康保険証を使います。医療機関受診のたびに必要で、入院・外来を問わず常に手元に置いておくことが大切です。
⑤ 限度額適用認定証(高額療養費)
入院や高額な外来治療を受けるとき、医療費の窓口負担に上限を設ける制度(高額療養費制度)を使うための証書です。これを事前に提示するだけで、窓口での支払いが上限額までに抑えられます。
申請先は加入している医療保険の窓口(後期高齢者→都道府県の後期高齢者医療広域連合、健康保険→協会けんぽや健保組合など)。入院が決まったら、できるだけ早く申請することをおすすめします。



そのまま使える一言: 「父が入院することになりました。限度額適用認定証はどこに申請すればいいですか?」
5枚をまとめて管理する方法
「いざ必要なときに見つからない」を防ぐために、今すぐ1冊のファイルにまとめておくことをおすすめします。
・100円ショップのクリアポケットファイルに5枚をまとめる
・「介護書類」と書いたラベルを貼って、引き出しの決まった場所に置く
・家族全員で「どこにあるか」を共有しておく
・有効期間のある書類(負担割合証・限度額認定証)は更新のたびに差し替える
マイナンバーカードを持っている場合は、一緒に保管しておくと各種申請がスムーズです。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
Aさんが「書類ひとつで手続きが止まった」と話してくれた経験は、特別なことではありません。現場では日常的に起きています。
今日、5枚が「どこにあるか」だけ確認してください。それだけで、いざというときの動きが変わります。



基本の5枚
①介護保険証 ②要介護認定結果通知書
③負担割合証 ④医療保険証
⑤限度額適用認定証
今日、場所だけ確認してください。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。メガネ
後編もあわせてどうぞ
状況によって使える「プラスαの書類」は後編で解説しています。難病受給者証・身体障害者手帳・福祉医療費受給者証など、知らないと損する書類を紹介しています。


もよかったらどうぞ。
よくある質問
Q. 書類を紛失した場合、どこに連絡すればいい?
介護保険証・負担割合証・要介護認定結果通知書は市区町村の介護保険担当窓口へ。後期高齢者医療保険証は都道府県の後期高齢者医療広域連合か市区町村窓口へ。限度額適用認定証は加入している医療保険の窓口に問い合わせてください。
Q. マイナ保険証を使えば保険証は不要?
マイナンバーカードを健康保険証として使える「マイナ保険証」の普及が進んでいますが、すべての医療機関・介護施設で対応しているわけではありません。従来の保険証も手元に持っておくことをおすすめします(2024年12月以降は「資格確認書」が発行されます)。
次の行動|今日できること
難しく考えなくて大丈夫です。1つだけやってみてください。
・家にある介護関係の書類を一か所に集める
・5枚が全部あるか確認して、見当たらないものをメモする
・市区町村の介護保険窓口に「書類の再発行」について電話で確認する
出典・参考
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2024年度版)
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の概要」
- 各都道府県後期高齢者医療広域連合ウェブサイト
最終確認日:2026年6月





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