「施設のパンフレットを集めたけど、どれも似て見えて……」
施設選びの相談を受けるなかで、家族からよく聞く言葉です。
結論からお伝えします。4つの施設タイプの違いは、たった2つの軸でほぼ決まります。
- 軸①:本人の状態(介護度・認知症の有無)で、入居できる施設が変わる
- 軸②:待機できる時間で、現実的な選択肢が変わる
私は理学療法士・社会福祉士として介護保険の現場で18年、いまは施設の相談員として、家族の施設選びの相談を毎日受けています。今日はこの2軸の使い方と、4タイプの違いを表で一気に整理します。最後に、家族が今夜できる「最初の絞り込み」も置いておきます。

4タイプを比べると、こうなる
まずは全体像を表で。月額や条件は地域・施設で前後しますが、目安として頭に入れておくと、施設選びがぐっと楽になります。
| 項目 | 特別養護老人ホーム(特養) | 有料老人ホーム(介護付き/住宅型) | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | グループホーム |
|---|---|---|---|---|
| 運営 | 社会福祉法人など(公的) | 民間企業 | 民間(賃貸住宅扱い) | 民間または社会福祉法人 |
| 入居条件 | 原則要介護3以上 | 自立〜要介護(タイプによる) | 60歳以上または要支援以上 | 認知症の診断+要支援2〜 |
| 月額の目安 | 10〜15万円 | 15〜30万円 | 10〜25万円 | 12〜18万円 |
| 看取り対応 | 多くの施設で対応 | 介護付きはほぼ対応 | 施設による(外部サービス利用が多い) | 施設による |
| 申し込みやすさ | 待機が長い(数ヶ月〜数年) | 入居しやすい | 入居しやすい | 地域密着・空き次第 |
| 特徴 | 終の棲家として人気、料金が安い | 選択肢豊富、サービス充実 | 自立した生活+見守り | 認知症の方が少人数で家庭的に暮らす |
「自分の家族はどれに当てはまるだろう?」と思いながら見るのが、この表の正しい使い方です。
ある家族の話
Fさん(仮名)の70代のお母さまは、要介護2で、認知症の診断あり。一人暮らしが難しくなってきた、という相談を受けたことがあります。
Fさんは最初、料金の安さで特養を考えていました。でも、特養は原則 要介護3以上。お母さまの介護度では入居できません。
次に有料老人ホームを見学。施設は気に入ったけれど、月額25万円。「これを何年も払い続けるのは厳しい」とFさん。
サ高住も検討しましたが、認知症の対応にバラツキがあり、不安が残りました。
最終的にFさんが選んだのは、グループホームでした。認知症の診断があり、要介護2でも入居でき、月額15万円。少人数のホームで、お母さまも穏やかに過ごせるようになりました。
「最初に4タイプの違いを知っていたら、見学する施設を絞れたのに」—Fさんの言葉が印象的でした。
家族が施設を絞り込むための2軸
ここからは、今夜から使える絞り込み方です。
軸①|本人の状態で「入れる施設」が変わる
| 本人の状態 | 候補になる施設 |
|---|---|
| 自立〜要介護2、認知症なし | 有料老人ホーム/サ高住 |
| 要介護3以上 | 特養(待機を覚悟)/有料老人ホーム |
| 認知症の診断あり | グループホーム/認知症対応型の有料老人ホーム |
「特養に入れたい」と思っても、要介護度が足りなければ入れません。まず本人の介護度で、選択肢が3〜4タイプから1〜2タイプに絞られます。
軸②|待機できるかで「現実的な選択肢」が変わる
| いつ入居したいか | 現実的な選択肢 |
|---|---|
| すぐ(数週間〜数ヶ月以内) | 有料老人ホーム/サ高住/グループホーム(空き次第) |
| 待てる(半年〜数年) | 特養を本命にしつつ、有料・サ高住に短期入居して待つ手もあり |
特養は人気で、地域によっては1〜3年待ちは普通です。「すぐ入居が必要」な家族にとっては、特養は事実上の選択肢になりません。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ
最後に、今夜あなたのポケットに入れて帰っていただきたいひとつだけ、お渡しします。

施設選びは、「本人の状態」と「待機できるか」の2軸で決まる。 パンフレットを集める前に、まずこの2軸で絞り込む。
家族で集まったときに、
- 「本人の介護度はいくつ?認知症の診断はある?」
- 「いつから入居したい?どれくらい待てる?」
この2つを確認するだけで、見学する施設が4タイプから1〜2タイプに絞れます。施設選びで迷子になる家族の多くは、この2つを最初に決めずにパンフレットを集めてしまっています。
迷ったら、お住まいの地域包括支援センターか、入院中なら病院のMSWに、まずこの2軸を相談してください。地域の事情を踏まえた候補を、その場で出してくれます。


☝️過去ブログ:「今、誰に電話すればいい?」——退院・在宅・施設入所、場面別の相談窓口ガイド
https://megane-shiitake.com/who-to-call-msw-caremanager/
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。
珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護保険制度について」(介護・高齢者福祉) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」
- 厚生労働省「介護老人保健施設」
- 厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」
- 国土交通省・厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」 https://www.satsuki-jutaku.jp/
- 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
- 公益財団法人 生命保険文化センター「介護に関する調査」
※本記事の入居条件・月額目安・看取り対応の状況は、執筆時点の現行制度・一般的な運営状況を前提にしています。 各施設タイプの最新基準・各施設の具体的な条件・月額は、必ず公式情報や各施設のパンフレットでご確認ください。
最終更新日:2026年5月





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