「老健って、結局どんな場所なの?」——そう思っている家族は多いと思います。
老健(老人保健施設)は、病院でも特養でもない。その「どちらでもない」がゆえに、分かりにくいと感じる方が多いのです。入所前に疑問を解消しておくことで、退所後の動きも変わります。
私は老健の施設相談員として18年間、家族からの相談を受けてきました。今回はその中で「よく聞かれる疑問」を8つ選び、現場の本音でお答えします。

Q1. 老健に入るには、どんな条件が必要ですか?
主な条件は要介護1以上の認定を受けていることと、病状が安定していることです。急性期の治療中は入所できません。病院で治療を終えて「状態が落ち着いた」段階で、初めて老健への入所が検討されます。
また、老健は「在宅復帰・施設への移行」を目指す施設です。「ずっとここにいる予定」という方より、「自宅に戻ることを目標にリハビリしたい」「次の施設への移行待ちの間に過ごしたい」という方が対象になります。

【担当者への確認一言】
「入所の条件と、申し込みから入所までどのくらいかかりますか?」
Q2. 費用はどのくらいかかりますか?毎月同じですか?
費用は要介護度・居室タイプ・施設の加算によって異なります。目安として月額8〜15万円程度が多いですが、施設や個室・多床室の違いで大きく変わります。
介護保険の自己負担(1〜3割)に加えて、居住費・食費・日常生活費が加わります。低所得の方は「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度で、居住費・食費の自己負担が軽減される場合があります。
「毎月同じ」とは限りません。月によってリハビリの量や加算の状況が変わることで、請求額が変動することがあります。入所前に「月の費用の目安と、変動する可能性があるか」を必ず確認してください。



【施設への確認一言】
「月の費用の目安と、変動する場合はどのくらい差がありますか?」
Q3. リハビリは毎日してもらえますか?
「老健=毎日リハビリ」と思っている方が多いのですが、毎日個別リハビリが受けられるとは限りません。週3〜5回が一般的で、施設や本人の状態によって異なります。
重要なのは本人の意欲と参加の姿勢です。リハビリの時間以外でも、日常生活の動作(歩く・食べる・トイレに行く)がすべてリハビリになります。「スタッフにやってもらう」ではなく「自分でやろうとする」姿勢が、回復に直結します。
見学時に「週に何回、個別リハビリがありますか?」と確認しておくと安心です。施設によって体制が大きく異なります。
Q4. 急に体調が悪くなったら、どうなりますか?
老健には医師・看護師が配置されていますが、対応できる医療処置には限界があります。発熱・血圧の変動・体調不良などは老健内で対応できますが、入院が必要な状態になると連携している病院に搬送されます。
特に胃ろう・気管切開・中心静脈栄養(IVH)・人工透析などの医療処置がある場合は、入所できない老健も多くあります。入所前に「現在の医療処置の状況を施設に正直に伝える」ことが、後々のトラブルを防ぎます。
「急変したらどこの病院に搬送されますか?」も、入所前に確認しておくと安心です。
Q5. 老健と特養、どちらがいいですか?
これは「どちらが良い・悪い」ではなく、目的が違います。
・老健:リハビリを行いながら、在宅復帰または次の施設への移行を目指す(通過点)
・特養:長期入所を前提とした生活の場(終の棲家になることも多い)
目安として、「まだ在宅復帰の可能性がある」「リハビリを続けたい」なら老健、「長期的に安心して暮らせる場所が必要」「要介護3以上で在宅が難しい」なら特養が向いています。
ただし、特養は申し込みから入居まで数か月〜数年かかることもあります。「在宅に戻れるかどうか分からない」段階から、特養の申し込みだけしておく、という動き方も現場ではよく見られます。
Q6. 家族はどのくらい面会できますか?
基本的に面会は自由に来ていただけます。病院と違い、老健は「生活の場」ですので、面会時間の制限が緩やかな施設が多いです。施設によって「面会可能な時間帯」が決まっていますので、入所前に確認してください。
感染症の流行時期(インフルエンザ・コロナなど)は面会が制限されることがあります。「感染症対策期間の面会ルールはどうなっていますか?」も聞いておくと安心です。



【入所前の確認一言】「面会は何時から何時まで可能ですか?人数の制限はありますか?」
Q7. 「特養の順番待ち」の間に老健に入ることはできますか?
できます。これは現場でもよく使われる方法です。
特養の申し込みをして、順番が来るまでの間、老健でリハビリをしながら過ごす。その間に特養の空きが出たら移行する——この「老健待機→特養入居」という流れは珍しくありません。
老健に入所した段階で、並行して特養への申し込みを進めることを勧めます。老健のケアマネジャーや相談員に「特養の申し込みも一緒に進めたい」と伝えると、連携してサポートしてくれます。
Q8. 入所までどのくらい待ちますか?
特養と比べると待機期間は短めで、数日〜1か月程度で入所できるケースが多いです。ただし施設の空き状況・医療処置の有無・要介護度によって大きく異なります。
退院日が決まってから探し始めると、間に合わないことがあります。入院中の早い段階から、病院のソーシャルワーカー(社会福祉士)に「退院後は老健を検討している」と伝えておくことが大切です。複数の施設に並行して問い合わせる「並走申し込み」も有効です。



【病院スタッフへの一言】「退院後に老健を検討しています。今から動き始めた方がいいですか?」
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ



老健は「よく分からない施設」ではありません。目的・費用・できることとできないことを知っておくだけで、入所後の不安がかなり減ります。
疑問があればその場で聞いてください。相
相談員や担当スタッフは「聞かれること」を待っています。遠慮なく声に出すことが、いちばんのです。
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珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「介護老人保健施設について」 https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/
- 公益財団法人 長寿科学振興財団「老人保健施設」 https://www.tyojyu.or.jp/
※費用・入所条件・医療体制は施設・地域によって異なります。担当のケアマネジャーまたは各施設にご確認ください。
最終更新日:2026年6月




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