「今、誰に電話すればいい?」——退院・在宅・施設入所、場面別の相談窓口ガイド

「親が倒れて入院した。退院後の生活、どうしよう。介護のことを相談したいけど——今、誰に電話すればいいんだろう?

そんなふうに、スマホの連絡先一覧を眺めて固まってしまう。介護のはじまりに、これは家族のほぼ全員が一度は経験する場面です。

私はPT・社会福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を持って、現場で18年働いてきました。家族から相談を受けるなかで、いちばん多いのが「誰に電話していいか分からない」というものです。

結論からお伝えすると、介護の相談窓口は1つではありません親が今どこにいるかで、電話すべき相手が変わります。今日はそれを場面別に整理します。最後まで読むと、あなたが今夜かけるべき1本の電話が決まります。

目次

介護の相談窓口は、状況で変わる

介護の相談窓口は、大きく分けて4つあります。

  • MSW(医療ソーシャルワーカー):病院のなかにいる相談員
  • 地域包括支援センター:市区町村の介護なんでも相談窓口
  • 在宅ケアマネジャー:自宅で介護する時の担当者
  • 施設ケアマネジャー:施設に入所している時の担当者

「ぜんぶ似たような名前で混乱します」と言われることもよくあります。それは普通の感覚です。でも、実はとてもシンプルなルールがあります。

親が今、どこにいるか——それだけで、電話すべき相手が決まります。

  • 親が病院にいる → MSW
  • 親が自宅にいる/自宅に戻る → 地域包括支援センター → 在宅ケアマネ
  • 親が施設(老健・特養など)にいる → 施設ケアマネ

これだけ覚えておけば、最初の一歩は迷いません。

ある家族の話

先日、こんな相談を受けました。

Aさん(仮名)の70代のお母さまが、自宅で転倒して大腿骨を骨折。救急搬送され、入院されました。手術は成功しましたが、医師から「リハビリが必要なので、3週間ほど入院していただきます」と告げられました。

Aさんはご家族と相談し、「退院後は自宅で介護したい」と決めました。でも、何から始めればいいか分からない。介護保険も、ケアマネも、福祉用具も、ぜんぶ初めての言葉です。

私が最初にお伝えしたのは、たった1つでした。「まず、入院している病院のMSWに会ってください」。

MSWは病院のなかにいる、退院後の生活を整える専門家です。Aさんはその日のうちに病院のMSWに会い、退院日に向けて、介護保険の申請、地域包括支援センターへの連絡、退院後を担当する在宅ケアマネの紹介まで、ぜんぶ整えてもらえました。

「あの時、MSWの存在を知らなかったら、退院日にパニックになっていたと思います」——Aさんが後から言ってくれた言葉です。

場面別・電話すべき相手フロー

ここからは、家族の状況別に「電話すべき相手」を整理します。自分の状況に近いものを1つだけ選んで読んでください。

親が今、入院中

→ 病院の**「医療相談室」または「地域連携室」に電話して、「MSWに相談したい」**と伝えてください。

MSWは退院後の生活を整える専門家です。介護保険の申請、地域包括支援センターへの繋ぎ、ケアマネの紹介、自宅改修の段取り——すべてMSWの仕事の範囲です。

入院中は、MSWが介護のスタート地点になります。退院日が決まる前に、必ず一度会っておきましょう。

親が自宅にいて、まだ介護保険を使っていない

→ お住まいの市区町村名と「地域包括支援センター」で検索して、電話してください。相談は無料、年齢制限もありません。

地域包括支援センターは、地域の介護の総合窓口です。介護保険の申請手続き、要介護認定後の在宅ケアマネ紹介、家族の悩み相談、すべて受けてくれます。

「まだそこまで深刻じゃないから……」と遠慮する必要はまったくありません。むしろ早めに相談したご家族のほうが、その後の介護が楽になっています

親が自宅にいて、すでに介護保険を使っている

→ 担当の 在宅ケアマネジャーに電話してください。

在宅ケアマネはケアプランを作っている人です。「サービスを増やしたい」「最近、母の様子が変わった」「家族の介護がもう限界かもしれない」——どんなことでも相談できます。

ケアマネに連絡することに遠慮を感じる方が多いのですが、むしろ家族から声をかけてもらえる方が、ケアマネとしては動きやすいのが実際のところです。

親が施設(老健・特養など)にいる

→ 施設のなかにいる 施設ケアマネジャーに相談してください。施設のスタッフに「ケアマネさんに話したい」と伝えれば、取り次いでもらえます。

施設ケアマネは、その施設での生活を整える人です。在宅ケアマネとは別の人なので、ここを混同しないようにしましょう。

ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

最後に、今夜あなたのポケットに入れて帰っていただきたいひとつだけ、お伝えします。

親が今どこにいるかで、電話すべき相手が決まる。

  • 病院 → MSW(病院の医療相談室)
  • 自宅・介護未使用 → 地域包括支援センター
  • 自宅・介護使用中 → 在宅ケアマネ
  • 施設 → 施設ケアマネ

それでも迷ったら、地域包括支援センターに電話してください。そこから先、どの窓口に繋げばいいか、必ず案内してくれます。これだけ覚えていれば、最初の一歩で迷子になることはありません。

このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。

ちなみに、介護にどんな専門職がいるかの全体像をもう少し楽しく覚えたい方は、私のnoteで「ドラクエのパーティーで例えたら一発でわかった話」という記事を書いています。覚える時はnote、動く時はこのブログ——というふうに、よかったら使い分けてみてください。

https://note.com/meganeshiitake

珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。

メガネ

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この記事を書いた人

メガネのアバター メガネ 理学療法士、社会福祉士、ケアマネ

PT(理学療法士)×社会福祉士×ケアマネジャーの三刀流。
介護の現場で感じたことを珈琲一杯分ずつ率直に届けます。
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