「相談員さんと訪問看護師さん、どちらにも来てもらっているんですが、それぞれ何を見ているんですか?」
家族からよく聞かれます。
結論からお伝えします。相談員(社会福祉士)と訪問看護師は、同じ利用者に関わりながら、見ている景色が少し違います。 この違いが、在宅介護の支援を立体的にしています。
私は理学療法士・社会福祉士として現場で18年、施設相談員として訪問看護師と毎日のように連携してきました。今日はその経験から、2人がそれぞれ何を見ているのか、そして家族にとってその違いがどう役立つのかを整理します。
Fさんの話——「2人が来てくれるから、安心できている」
Fさん(仮名)の90代のお父さまが、心疾患を抱えながら自宅で生活していました。週3回の訪問看護と、月1回の相談員の訪問が入っていました。
ある日、訪問看護師から「最近、足のむくみが増えています。心臓の負担が増えているかもしれません」と報告がありました。私はその情報を受けて、かかりつけ医への連絡・薬の調整依頼・家族への状況共有・サービス変更の検討を同時に動かしました。
Fさんは「看護師さんが体のことを見てくれて、相談員さんが全体を動かしてくれる。2人がいるから、父が家にいられる」と話してくれました。
これが、相談員と訪問看護師が連携する在宅介護の姿です。
それぞれの「見ている景色」

訪問看護師が見ている景色
訪問看護師は、体の今この瞬間を見ています。
・血圧・体温・呼吸・脈拍などのバイタルサイン
・皮膚の状態(褥瘡(じょくそう)・むくみ・乾燥など)
・服薬の状況と副作用の有無 ・食事・水分摂取の量と変化
・医療処置(点滴・カテーテル・傷の処置など)の実施
訪問看護師は「今日この人の体に何が起きているか」を専門職の目で評価します。週に数回の訪問の中で、小さな変化を積み重ねて見ています。
相談員(社会福祉士)が見ている景色
相談員は、生活全体の流れと関係性を見ています。
・家族の介護負担と精神的な状態
・使っているサービスの組み合わせが今の状態に合っているか
・経済的な状況と使える制度の余地 ・本人・家族の希望と、現実のギャップ
・今後の生活の方向性(在宅継続か施設移行か)
相談員は「この人の生活がこれからどうなっていくか」という全体の流れを見ています。体の変化を受けて、サービスや環境をどう動かすかを考えるのが役割です。
2人の連携が生む「安心」
訪問看護師が「体の変化」を見つけ、相談員が「それを受けた生活の調整」を動かす——この流れが機能すると、家族は「何かあってもすぐ動いてもらえる」という安心感を持てます。
現場でよく見るのは、訪問看護師から「最近、本人が施設に興味を持っているようです」という情報が来るケースです。体の状態を毎日近くで見ている訪問看護師だからこそ、気づける本人の気持ちがある。それを受けて相談員が家族と施設移行の話し合いを始める——こうした連携が、在宅介護をスムーズにします。
逆に、相談員から「家族の介護疲れが限界に近い」という情報を訪問看護師に共有することもあります。訪問の中で、家族に少し声をかけてもらうだけで、家族が「見てもらえている」と感じることがあります。
家族にとっての「2人の使い分け」
難しく考えなくて大丈夫です。シンプルなルールはこれだけです。
・体のこと(薬・症状・処置・急変)→ 訪問看護師
・生活のこと(サービス・制度・施設・家族の悩み)→ 相談員
・どちらに言えばいいか迷ったら → どちらに言っても情報は共有される
2人は連携しています。片方に話したことは、もう一方にも伝わっていきます。家族が「相手を間違えた」と心配する必要はありません。
今日から使える一言

「体のことは看護師さんに、生活のことは相談員さんに、でいいですか?」
在宅介護を支えるチームの全体像
相談員と訪問看護師は、在宅介護チームの中の2人です。チーム全体を見ると:
・かかりつけ医:医療の方針を決める
・訪問看護師:体の状態を管理・対応する
・ケアマネジャー:サービス全体をコーディネートする
・ヘルパー:日常生活の介助をする
・相談員:生活の調整・家族支援・施設連携をする
・PT・OT:リハビリで機能維持・回復を支える
このチームが連携することで、在宅介護が成り立ちます。家族はチームの一員です。気になることをどこかに伝えれば、チーム全体に届いていきます。
ポケットに入れて帰っていただきたい、ひとつだけ



訪問看護師は「体の今」を、相談員は「生活の流れ」を見ている。
2人が連携することで、在宅介護の安心が生まれます。
「2人も来てくれているのに、何を頼めばいいか分からない」と感じたら、まずどちらかに「最近気になっていること」を一つ話してみてください。それだけで十分です。
次の行動|今日からできること
・訪問看護師と相談員、それぞれの名前と連絡先を確認する
・体のことは看護師に、生活のことは相談員に、と整理してみる
・気になることを一つだけ、次の訪問時に話してみる
3つのうち1つだけでいいです。在宅介護チームとの連携が、ぐっと近くなります。
このブログでは、こうした「家族が動くための具体的な手順」を、これからもひとつずつ書いていきます。関連記事として、以下もよかったらどうぞ。




珈琲一杯分の時間、お付き合いいただきありがとうございました。
メガネ
出典・参考
- 厚生労働省「在宅医療・訪問看護」
https://www.mhlw.go.jp/ - 公益社団法人 日本看護協会「訪問看護」
https://www.nurse.or.jp/ - 公益社団法人 日本社会福祉士会
https://www.jacsw.or.jp/
※訪問看護・相談員の体制・役割は事業所・施設により異なります。
個別の相談は、担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターにお問い合わせください。最終更新日:2026年6月









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